「やまなしもぎ」(平野直/再話 太田大八/画 福音館書店 1978)
昔、あるところに、お母さんと3人の兄弟が住んでいました。お母さんはからだの具合が悪く、寝ていましたが、ある日兄弟を呼んで、「おくやまのやまなしが食べたいな」といいました。そこで、一番上の太郎がやまなしもぎにでかけました。途中、太郎は大きな切り株にすわっているばあさまに出会いました。ばあさまは太郎をみると赤い欠け椀をだして、「すまんが水をくんでくれんかの」と頼みましたが。が、太郎は忙しいからと断りました。やまなしもぎにいくという太郎に、ばあさまは「この先の《3本のまっかみち》に3本の笹が立っていて、風に鳴っているけに、「ゆけっちゃかさかさ」というほうにゆきもさい」と教えてくれました。
ところが、太郎はばあさまの忠告を聞きません。きつつきやふくべの教えてくれた前兆にも耳を傾けず、やまなしをとろうとしたところ、沼の主にげろりと呑みこまれてしまいます。以下はくり返し。最後、末っ子の三郎がみごと沼の主を倒し、やまなしをもって帰ります。
岩手の民話を再話した絵本です。ストーリーは緊密に構成され、手に汗握る面白さです。最後のページで、元気にはたらいているお母さんの姿がうれしいです。小学校低学年向き。
以下は余談。同じ民話を題材にした絵本に、「なしとりきょうだい」(かんざわとしこ/文 えんどうてるよ/絵 ポプラ社 1977 )があります。でも、話のバージョンがちがうのか、神沢利子さんの創作が入っているのか、ストーリーはいささかちがいます。また、「なしとりきょうだい」は本編以外の付録が多く、巻末に話を聞いた子どもたちの感想や絵、それから作者たちの苦労話などの興味深い記事が載せられています。
0 件のコメント:
コメントを投稿