2009年12月16日水曜日

山の上の火












「山の上の火」(ハロルド・クーランダー/文 ウルフ・レスロー/文 渡辺茂男/訳 佐野昌子/絵 ジーシー 1995)

昔、アジズ・アベバという町に、アルハという名の若者が住んでいました。アルハは子どものときに田舎から町にやってきて、ハプトム・ハセイというお金持ちの召使いになりました。ハプトムは、お金でできることはみんなやってしまい、ときどき退屈でたまらなくなりました。ある寒い夜、ハプトムはあることを思いついていいました。「人間というものは、どのくらいの寒さまでがまんできるものかな。たとえば、スルタ山のてっぺんでひと晩中はだかでいても生きていられるだろうか」。そこで、アルハはハプトムと賭けをすることになりました。

スルタ山のてっぺんで、ひと晩中裸でいられれば、賭けはアルハの勝ちです。勝てば、家と牛とヤギと畑がもらえます。でも、いざ賭けをするとなると、アルハは不安になり、物知りのじいさんに相談します。じいさんは、谷をへだてた反対側の山で、たき火をすることを申し出ます。「おまえはひと晩中わしの燃す火をみつめながら、暖かい火のことを考えるんじゃ」。さて、アルハは賭けに勝つことができるでしょうか。

エチオピアの昔話に材をとった読物絵本です。文章は「山の上の火」(岩波書店 1963)から借用したそうです。よく似た話は、トルコの有名なとんち話の主人公、ナレスディン・ホジャの物語を絵本にした、「ホジャどんのしっぺがえし」(ギュンセリ・オズギュル/作 ながたまちこ/訳 ほるぷ出版 1983)にみることができます。現在品切れ。小学校低学年向き。

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