「にげだしたひげ」(シビル・ウェッタシンハ/作 のぐちただし/訳 木城えほんの郷 2003)
昔、スリランカという国に小さな村がありました。その村には、ひげそりもはさみもなかったので、じいさんたちはみな、ひげを長くのばしていました。そして、あんまり長くなると、まな板の上で魚を切るように、ほかのひとに包丁でひげを切ってもらっていました。ところが、ハブンじいさんだけはちがっていました。というのも、ハブンじいさんは、ねずみにひげをかじってもらっていたのです。
ところが、ある日のこと、ねずみの歯が丸くなっていて、かじってもひげが短くなりません。早く歯を研いできておくれと、ハブンじいさんがいうと、これを聞いたひげはあわてて逃げだし、部屋中に、そして村中のあらゆるものにからみつきます。描きようによってはグロテスクになってしまう題材ですが、ウェッタシンハの幸福感のある絵が、じつに愉快に物語を表現しています。また、話のおさめかたも絶妙です。小学校低学年向き。
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