2013年4月20日土曜日

かあさんのいす















「かあさんのいす」(ベラ B.ウィリアムズ/作 佐野洋子/訳 あかね書房 1984)

母さんは、ブルータイル食堂でウェイトレスをしています。仕事から帰ってくると、お財布から細かいお金をだして、わたしにくれます。わたしはそれをビンに落とします。ビンはすごく大きいので、いつになったらいっぱいになるのかわかりません――。

去年の火事で、イスも、ほかのものも、ぜんぶ焼けてしまいました。ビンのお金が一杯になったら、すごくきれいで、すごく大きな、バラの模様のビロードをかぶったすてきなイスを買うのです。

本書の冒頭に、「かあさんの思い出のために」という献辞が記されています。本書は、作者の子どものころの話なのかもしれません。絵は、ていねいにえがかれた親しみやすい水彩。さて、火事でみんな焼けてしまった〈わたし〉の家ですが、家族はみんな無事でした。アパートに引っ越すと、近所のひとたちが家具や食器やいろんなものをもってきてくれました。そして、ついにビンが一杯になる日がやってきます。小学校高学年向き。

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