2013年2月15日金曜日

ニワトリが道にとびだしたら

「ニワトリが道にとびだしたら」(デビッド・マコーレイ/作 小野耕世/訳 岩波書店 1988)

ある日、1羽のニワトリが道に飛びだしました。それに驚いたウシたちが、突然走りだし、古ぼけた橋の上に押しよせました。すると、橋がこわれ、ウシたちは汽車の上に墜落しました。

汽車には、刑務所にはこばれる途中の「やけくそダン」という泥棒がいて、ダンはこれはちょうどいいと、盗んだものをもって逃げだします。でも、キイチゴのとげで袋が破れ、盗んだものが次つぎとこぼれていってしまいます。

デビッド・マコーレイは「キャッスル」(岩波書店 1980)など、建築物の図解をした本の作者として高名です。本書の絵は、メリハリのある色づけをされた、厚塗りの、ユーモラスなもの。このあと、「やけくそダン」が落としていった金時計を、カササギがくわえて飛んでいきます。ですが、金時計はカササギには重すぎ、途中で放してしまいます。すると、時計は給水タンクのなかに落ち、パイプをつまらせて──と、事態はドミノ倒しのように進んでいきます。絵と文章がはなれているところがあり、意味がとりにくいところがあるのですが、何度かみていくと、脈絡がのみこめてきます。また、絵のあちこちに、「やけくそダン」の逃亡がえがかれているのがみえてきます。どんどんつながっていく出来事は、めぐりめぐって、最後、冒頭につながります。小学校中学年向き。

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