2009年6月19日金曜日

空とぶじゅうたん












「空とぶじゅうたん」(マーシャ・ブラウン/再話・絵 松岡享子/訳 アリス館 2008)

インドの王、サルタンには3人の息子がありました。いちばん上の王子はフセイン、2番目はアリ、すえの王子はアーマッドといいました。サルタンにはまた、ノア・アルニハ王女という姪がひとりおりました。サルタンの薫陶をうけた王女は、たいそう美しく、機知に富んだ娘に育ちました。ところが、困ったことに、3人の息子たちは、みな王女を深く愛するようになってしまいました。そこで、心を痛めたサルタンは息子たちにいいました。「遠い国へ旅に出て、もっともめずらしい宝をもち帰った者を王女の夫とすることにしよう」

副題は「アラビアン・ナイトの物語より」。全48ページの読み物絵本です。話は長いので、自分で読める子むきです。絵の背景の色にまぎれて、文章が読みづらいところがあります。でも、マーシャ・ブラウンの絵は彩どり鮮やかで、とてもきれいです。

この物語で、3人の王子が手に入れる宝は、見たいものがなんでも見える象牙の遠眼鏡、においをかぎさえすればどんな病気も治る魔法のリンゴ、それから空とぶじゅうたんです。3人の王子はこれらの宝を用いて、病気の王女を救いだします。ここで、思い出すのは、ジプシーの昔話をあつめた「きりの国の王女」所収の「すてられた子どもたち」。この話にでてくる3つの道具は、いのちの水、なんでもうつせる鏡、空とぶきれです。主人公の子どもたちは、この3つの道具をつかい、王さまの病気を治します。似たような話はきっと、ほかにもまだまだあるのでしょう。

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