2009年6月10日水曜日

空とぶ船と世界一のばか











「空とぶ船と世界一のばか」(アーサー・ランサム/文 ユリー・シュルヴィッツ/絵 神宮輝夫/訳 福音館書店 1986)

ある村に年寄りの夫婦がいました。息子が3人いて、上の2人は利口でしたが、末の子は世界一ばかだといわれていました。あるとき、国の王様がおふれをだしました。「青空を自由に走りまわれる鳥のような船をもってきた者には、王女と結婚させてやろう」。上の2人はさっそく旅立ちました。そこで兄たちの真似をして、ばか息子も旅立ちました。

ロシアの昔話をもとにした絵本です。旅にでたばか息子は、不思議な老人の力により空飛ぶ船を手に入れます。そして、さまざまな仲間たちとめぐり会い、王様がだした困難も仲間の助けによって乗り越え、ついに王女と結婚します。ばか息子はなにもせず、それでいてすべてがうまくいくさまは痛快なほどです。シュルヴィッツの描く、空に浮かぶ船がじつに感じがでています。けっこう長い話なので、小学校低学年向き。

余談ですが、この話に似た話は、いろんな昔話集におさめられています。たとえば、フィンランドの昔話をあつめた「かぎのない箱」(岩波書店 1963)所収の「りくでも海でもはしる船」など。ただし、こちらはさし絵でみるかぎり、船に車輪がついているだけで、どうも空は飛ばないようです(文章だけ読むと、空を飛んでもいいような気もするのですが)。
それから、タイトルが大幅にちがいます。「空とぶ船と世界一のばか」というタイトルのインパクトはすさまじいものがあります。名タイトルです。

0 件のコメント:

コメントを投稿