2012年11月28日水曜日

父さんと釣りにいった日












「父さんと釣りにいった日」(シャロン・クリーチ/文 クリス・ラシュカ/絵 長田弘/訳 文化出版局 2002)

ぼくが子どもだったときのある土曜日、父さんとぼくは朝早くから家をとびだし、裏庭でミミズをさがしました。車のトランクに、2本の釣り竿と、ミミズの缶と、サンドイッチを入れたバックと、水を入れた魔法瓶をしまうと、父さんはいいました。「だれも知らないところへいこう。新鮮な空気を釣りにいこう! そよ風を釣りにいこう!」

道みち、父さんが、「あの街灯をみてごらん。一列に並んで輝いている、たくさんのちっちゃな月みたいだ」というと、街灯はたくさんのちっちゃな月に様変わりします──。

川へ釣りにでかけた父子の絵本です。絵は、カラフルな水彩。川に着いた2人は釣りをしながら話をします。子どものころ、父さんはどこに住んでいたの? 子どものころ父さんが住んでいた家のまわりは、どんなところだったの? こうして〈ぼく〉は、新鮮な空気や、そよ風や、父さんが住んでいたちっちゃな家や、澄んだつめたい川や、そのほかもろもろを釣り上げます。にぎやかな絵と、父子の情愛が響きあった、美しい一冊です。小学校中学年向き。

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