2012年11月30日金曜日

ふしぎなたね












「ふしぎなたね」(安野光雅/作 童話屋 1992)

昔、あるところに怠け者の男が住んでいました。ある日、仙人があらわれて、男にこういいました。「おまえに不思議なタネをあげよう。そのタネを1個焼いて食べれば、1年間はもうなにも食べなくてもお腹がすくことはない。また、このタネを1個地面に埋めると、来年の秋には必ず実って2個になる」

男は、タネをひとつ食べ、ひとつ埋めます。秋になり、実った2個のタネを、またひとつ食べ、もうひとつをまた埋めます。しばらくそうして暮らしていたのですが、「このままだと、いつまでたってもおんなじだ」と、男はタネを2つ埋め、その年はなにかほかのものを食べることにします──。

「美しい数学シリーズ」の一冊です。「旅の絵本」など、さまざまな絵本を手がけた安野光雅さんによるもの。この絵本でも、さっぱりとした水彩画をえがいています。さて、男が埋めた2個のタネは、次の年4個のタネを実らせます。そこで、男はタネを1個食べ、残りの3個を地面に埋めます。すると、次の年は6個のタネが、その次の年は10個のタネが、その次の年には18個のタネが実ります。いつしか男ははたらき者になり、結婚し、子どもをもうけますが、思いがけない災難に出会います──。最後の最後で、ただの算数の本ではなくなる、美しい絵本です。小学校中学年向き。

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