2012年9月8日土曜日

きつねのよめとり









「きつねのよめとり」(大友康夫/作 福音館書店 1990)

昔、あるところに、おっ母と娘が暮らしていました。娘は器量よしで、長い髪をなにより自慢にしていました。ある晩、ニワトリが騒ぐので、おっ母にいわれて娘が駆けつけると、鳥小屋の前にじさまギツネがいました。「この古ギツネ、いだましい(かわいい)ととこを1羽でもとってみろ。ただではすませねえぞ」と、娘がにらみつけると、じさまギツネは娘をじろじろみて、「こいや、めんごい娘よ。おらの尻尾さ乗っておら家さきたら、きれいなべべさやっから」といいました。

娘は、「だれがおまえなんかといくか!」とこたえますが、次の日も、その次の日もじさまギツネはやってきます。娘がじさまギツネの尻尾に乗ると、じさまギツネはまたたくまに3つの山と3つの谷をこえ、キツネのうちにたどり着きます──。

絵は、おそらく厚塗りの水彩。ほとんど夜の場面なのですが、雪の夜の感じがよくでています。さて、家に帰ったじさまギツネは、さっそくばさまギツネと一緒に、娘に花嫁衣装を着せ、うちの嫁にぴったりだといいだします。娘が怖くなって泣いていると、一匹のネズミがやってきて、「おまえが一番大事にしているものを、おらさくれたら、キツネの嫁にならねえですむやりかたを教えてやるべ」といいだして…と、お話は続きます。裏表紙に、娘がニワトリにエサをあげている絵が描かれているのがうれしいところです。小学校低学年向き。

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