2012年9月27日木曜日

リンゴのたび










「「リンゴのたび」(デボラ・ホプキンソン/作 ナンシー・カーペンター/絵 藤本朝巳/訳 小峰書店 2012)

父さんは、リンゴの木を育てるのが大好きでした。だから、住みなれたアイオワをはなれて、オレゴンにいくことがきまったとき、リンゴの木を置き去りにしていくことなんて、とてもできませんんでした。父さんは、とてつもなく大きな箱をこしらえると、その箱を頑丈な馬車にきっちりとはめこみました。そして、そこに肥えた土を入れ、くだものの苗木を植えました。

父さんと、その家族は、苗木を積んだ馬車を牛に引かせ、一路オレゴンへと旅立ちます。途中、イカダでプラット川を渡ろうとして、あやうく苗木を落としそうになったり、ようやく川を渡り切ったと思ったら、大風が吹いて、苗木を吹き飛ばされそうになったりしながら、家族は力をあわせて、西へ西へと向かいます──。

副題は「父さんとわたしたちがオレゴンにはこんだリンゴのはなし」。絵は、のびやかな水彩。物語は、娘のデリシャスの1人称で陽気に語られます。「父さんは、だれもやったことのないような、くだものの大ぼうけんをやらかそうっていうわけ」。このあとも、しっかり者のデリシャスは、大風で飛んでいってしまった品じなをみつけたり、草原で「じんじんこうらすぞう」とたたかったり、よく家族とリンゴを守ります。デリシャスの活躍が楽しい、痛快な1冊です。小学校中学年向き。

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