2012年9月6日木曜日

ぶらぶらたろすけ










「ぶらぶらたろすけ」(いいじまとしこ/文 たしませいぞう/絵 ひかりのくに 1994)

昔、ある村に、たろすけという若者が住んでいました。たいそう怠け者で、生まれてから一度もはたらいたことがなく、毎日ぶらりくらりと遊んでいました。あるとき、たろすけがまたぶらぶらしていると、「もしもし、たろすけどん」と声をかけられました。みると、道ばたに小さなつぼが転がっており、なかに小さい男がいました。

小さい男は小さい声で、「わしはおまえさんのように、よう遊ぶ怠けもんが大好きじゃ。どうか、おまえさんの家に連れていってくれまいか」といいます。そこで、たろすけは、つぼをもって家に帰るのですが──。

日本の昔話をもとにした絵本です。絵は、おそらく水彩の厚塗り。太い描線でえがかれた、元気のよい筆づかいが魅力です。文章は、昔話風のことばづかいで書かれたタテ書きのもの。巻末に、田島征三さんによるあとがきと、二反長半(にたんおさなかば)さんによる解説がついています。さて、このあと、たろすけが外で遊んでから帰ると、見知らぬ男が寝ています。よくみると、つぼにいたあの小さい男です。たろすけが遊ぶと、男のからだはそれだけ大きくなるのです。それでも、たろすけが遊んでいると、男はとうとう家いっぱいに大きくなって…と、お話は続きます。教訓話なのですが、話が奇想天外なため、じつに愉快な一冊になっています。小学校中学年向き。

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