2010年7月28日水曜日

ぼうし












「ぼうし」(トミー・ウンゲラー/作 たむらりゅういち/訳 あそうくみ/訳 評論社 2006)

昔、ピンクのリボンのついた、黒い立派なシルクハットがありました。帽子は、お金持ちの頭上で幸せに暮らしていましたが、ある日、持ち主がオープンカーでとばしていたとき、風に吹き飛ばされてしまいました。帽子はあっちへいったりこっちへいったり、くるくる飛んで、一文なしの退役軍人、ベニド・バドグリオのはげ頭に、ぽとんと着地しました。

このあとは帽子の大活躍です。帽子は、お金持ちの外国人旅行者の頭に落ちてきた植木鉢を空中で受け止め、たった一羽しか捕まっていない、逃げ出したムラサキ・ゴシキドリのエスメラルダをみごと捕まえます。そのたびに、お礼や賞金をもらって、ベニドはどんどんお金持ちになっていきます。

ウンゲラーの絵本はどれもそうですが、構成が緊密で、飛躍に富んだできごとが次から次へと起こっていきます。ラストは、これ以外のものは考えられない、うまいラストになっています。小学校低学年向き。

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