2010年7月13日火曜日

りゅうになりそこねたハブ

「りゅうになりそこねたハブ」(儀間比呂志/作 福音館書店 1989)

昔、やんばるの村に柴刈りのカナーという、ひんすうむん(貧乏者)がいました。ある日、いつものように山で柴刈りをしていると、雨が降ってきたので、近くの岩かげで雨宿りをすることにしました。雨が大降りになってきたので、「ちゃーんならんさー」(しかたがないさー)と居眠りをはじめると、妙な音が聞こえてきました。みると、ハブが天にむかって飛び上がっては落ち、飛び上がっては落ちしていました。

ハブは海で千年、山で千年、人里で千年修行をすると竜になるといいます。カナーは一所懸命に天にのぼろうとしているハブに、「ハブさん、ちばれ(がんばれ)!」と声をかけます。が、ハブは修行中、一度でもひとにみられると竜になれません。カナーに見つかったハブは嘆き悲しみますが、カナーがこのことを内緒にすると約束すると、こういいます。「ありがとう、カナー。わしもおまえにいいことをしてあげよう。いますぐ家に帰って水がめを庭にだしておきなさい」。カナーが、いわれたとおり水がめを庭にだしておくと、金色に輝く「りゅうふん」(竜のうんこ)が、かめ一杯に入っています。「りゅうふん」はとても値打ちのある薬で、カナーは島一番のお金持ちになるのですが…。

沖縄の民話をもとにした絵本です。作者も沖縄出身で、その色づかいに南国らしさが感じられます。この絵本が最初に発表された、「こどものとも」の折りこみふろく「絵本のたのしみ」には、沖縄民話の会会長の遠藤庄治さんによる、「沖縄のハブと龍の話」という一文が寄せられています。それによれば、この絵本の素材になった話は、沖縄民話の会が、昭和48年以来あつめつづけた2万5千話(!)の話のなかから、作者である儀間さんがえらんで絵本にしたということです。小学校中学年向き。

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