2013年6月5日水曜日

バラライカねずみのトラブロフ















「バラライカねずみのトラブロフ」(ジョン・バーニンガム/作 せたていじ/訳 童話館出版 1998)

トラブロフは、ある宿屋で生まれました。宿屋には、夜ごと楽士たちがきました。楽士たちはジプシーで、田舎をめぐり歩き、演奏をしてお礼をもらっていました。トラブロフはいつも、じっと腰をおろして、音楽に聴きほれ、ときには寝に帰ることを忘れることもありました。ある晩、トラブロフは、大工ネズミのナバコフじいさんに呼ばれ、どうしてそんなに音楽ばかり聴いているのかとたずねられました。「好きでたまらないからです」とこたえると、ナバコフじいさんはバラライカをつくってくれました──。

さて、バラライカをつくってもらったトラブロフでしたが、弾くのはなかなか簡単でないことがわかります。たまたま知りあったジプシーじいさんが、今晩ここを去るというので、トラブロフは家族に内緒でジプシーたちのそりに忍びこみ、旅にでようと決心します──。

バラライカは、200年ほど前にできた、ギターによく似たロシアの楽器です。作者のジョン・バーニンガムは、「ガンビーさんのドライブ」などの作者として高名。初期の作風である濃厚さをもつ本書は、雪深い田舎の感じがよくでています。このあと、トラブロフは、ジプシーじいさんから熱心にバラライカの弾きかたを教わります。いっぽう、トラブロフのお母さんは、トラブロフがいなくなったため、心配のあまり病気になってしまいます。そこで、トラブロフの妹が兄をさがしにでかけて──と、お話は続きます。小学校低学年向き。

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