2013年6月25日火曜日

スイミー















「スイミー」(レオ・レオニ/作 谷川俊太郎/訳 好学社 1979)

広い海に、小さな魚の兄弟たちが暮らしていました。みんな赤いのに、スイミーという名前の1匹の魚だけが真っ黒でした。ある日、お腹をすかせた、おそろしいマグロがやってきました。マグロはひと口で赤い魚たちを一匹残らず飲みこんでしまい、逃げられたのはスイミーだけでした。

一匹だけになってしまったスイミーは、海の底をさまよいます。でも、海には素晴らしいものがたくさんあり、スイミーはだんだん元気をとりもどしていきます──。

本書は、「あおくんときいろちゃん」とともに、レオ・レオニの代表作。副題は「ちいさなかしこいさかなのはなし」。このあと、海のなかでさまざまなものをみたスイミーは、岩かげにいるスイミーそっくりの小さな赤い魚をみつけます。「でてこいよ。みんなで遊ぼう。面白いものがいっぱいだよ」と、スイミーは声をかけますが、「だめだよ。大きな魚に食べられてしまうよ」と、小さな赤い魚たちはこたえます。「でも、いつまでもそこにじっとしているわけにはいかないよ」と、スイミーは考えに考えて──。小学校低学年向き。

余談ですが、作中にでてくる「いせえび」は、原書では、「Lobster」。絵はもちろん、ロブスターとしてえがかれているので、文章とちぐはぐになっています。本書が出版された当時、ロブスターということばはまだ一般的ではなく、それで「いせえび」と訳したのかもしれません。

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