2010年8月20日金曜日

フーベルトとりんごの木












「フーベルトとりんごの木」(アルブレヒト・リスラー/絵 ブルーノ・ヘヒラー/文 講談社 2001)

ある小さな町のはずれに住んでいるフーベルトは、自分の庭に生えている大きなりんごの木が大好きでした。毎朝、起きてりんごの木を見るだけで心がはずみ、夕方仕事から帰ってきてりんごの木を見ると、ほっとした気持ちになりました。りんごの木は、春になれば花を咲かせ、夏には寝転ぶのにちょうどいい木陰をつくりました。フーベルトはだんだん年をとっていきましたが、毎日りんごの木を見る楽しみは変わりませんでした。たまに、近所のいたずらっ子たちがこっそりりんごをもぎとっているのをみつけると、笑ってこう叫びました。「そのりんごはとびきりおいしいぞ!」

ところが、ある秋の夜、嵐がやってきて、りんごの木はカミナリに打たれ、幹が裂けてしまいます。それから、わずかに花を咲かせたものの、りんごの木はかつての美しさをとりもどすことはありませんでした。そこで、フーベルトは──。

年をとったフーベルトと、同じく年をとったりんごの木のお話です。パステルで描かれた絵に、しみじみとした風情が漂います。小学校中学年向き。

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