2010年8月10日火曜日

マンゴーとバナナ












「マンゴーとバナナ」(ネイサン・クマール・スコット/文 T.バラジ/絵 なかがわちひろ/訳 アートン 2006)

インドネシアのジャングルに住む、まめじかのカンチルは、サルのモニェと一番の仲良しでした。あるとき、カンチルがいいました。「ねえモニェ、食べものを探しまわらなくても手に入れる方法があるんだよ。人間みたいに好きな果物の木を植えて育てればいいのさ」。そこで、カンチルはマンゴーの木を、モニェはバナナの木を植えました。

さて、待って待って待ち続けて、とうとうバナナとマンゴーに食べごろの実がなりました。ところが、いまになって気づいたのですが、まめじかのカンチルは木にのぼれません。そこで、モニェがマンゴーとバナナを両方もいできて、2人で半分こにすることにしました。ところが──。

バナナの木にのぼったモニェは、ついついバナナを全部食べてしまいます。カンチルはとても腹を立て、「マンゴーはぜんぶぼくのものだ。さあ、木にのぼってもいできておくれ」というのですが、マンゴーの木にのぼったモニェは、またしてもマンゴーを食べはじめてしまいます。そこで、カンチルは一計を案じるのですが…。

インドネシアの民話をもとにした絵本です。副題は「まめじかカンチルのおはなし」。訳者あとがきによれば、まめじかはインドネシア民話では、トンチのあるところを見せる人気者だそうです。この絵本でも、カンチルはうまくモニェを出し抜きます。また、本書の絵は、カラムカリと呼ばれるインドの伝統的染色芸術(インド更紗)によってつくられており、巻末にはそのつくりかたが紹介されています。小学校低学年向き(ただし、インド更紗の解説は大人向きです)。

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