2011年5月4日水曜日

そばがらじさまとまめじさま










「そばがらじさまとまめじさま」(小林輝子/再話 赤羽末吉/画 福音館書店 2008)

昔、そばがらじさまとまめじさまが住んでいました。大雨の続いたある日、そばがらじさまは川上に、まめじさまは川下に〈ど〉(竹で編んだ魚をとる道具)をかけました。つぎの日の朝、2人が川にいってみると、そばがらじさまの〈ど〉には雑魚一匹かかっておらず、代わりに白い子犬が一匹かかっていました。腹を立てたそばがらじさまが子犬を川に投げ捨てると、子犬は今度は川下のまめじさまの〈ど〉に引っかかりました。まめじさまは、その子犬を拾ってわが子のように育てました。すると、と子犬はみるみるうちに大きくなりました──。

まめじさまは、大きくなった白犬を山に連れていきます。犬がほえるたびに、あっちからもこっちからもカモシカがでてきて、おかげでまめじさまは毎日しし汁を食べることができるようになります。それを知ったそばがらじさまは、「その犬、おれさかせ」といって、いやがる犬を連れて山へいきますが、犬はちっともほえません。そこで、そばがらじさまが自分でさけぶと、アブやヘビやハチばかりもじゃもじゃとでたので、そばがらじさまは怒って、棒切れで白犬を殺してしまいます──。

岩手の昔話をもとにした絵本です。花咲じいさんのもとになったお話です。本文は方言で書かれていて、冒頭はこんな感じです。

《むかし あったっけずおん。
 そばがらじさまと まめじさまと すんでいたんだと。
 おおあめの つづいた あるひ、ふたりは、
「こんな ひには、ざっこ いっぺい とれるべぇ」
 と、かわへ いって、どを かけたと。
 そばがらじさまは かわかみに、
 まめじさまは かわしもに、
 ども かけたんだと。》

このあと、まめじさまは犬を埋め、そこにこめこやなぎを植えます。木はぐんぐん伸び、その木を切って〈するす〉(もみすりのための臼)をつくると、白い米がいっぱいでてきます。そこで、そばがらじさまがするすを借りていくと、こんどは馬のふんだの牛のふんだのがでてきたので、するすを割ってかまどにくべてしまいます。もちろん、最後、そばがらじさまは相応の報いを受けることになります。赤羽末吉さんは、白い犬を神様のお使いと考えてえがいたということです。小学校低学年向き。

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