2012年7月19日木曜日

おやすみなさいおつきさま









「おやすみなさいおつきさま」(マーガレット・ワイズ・ブラウン/文 クレメント・ハード/絵 せたていじ/訳 評論社 1979)

大きな緑の部屋のなかに、電話がひとつ、赤い風船がひとつ、雌ウシが月を飛びこす絵がひとつと、3匹のクマが椅子にすわっている絵がひとつ、子ネコが2匹に、手袋がひとそろい、人形の家が一軒に、子ネズミが1匹、クシとブラシにおかゆがひと椀、そしてウサギのおばあさんがベッドの子ウサギに、静かにおしと小さい声でいっています──。

名高い古典絵本の1冊です。カラーと白黒のページが交互にくる構成。前半、部屋のなかのいろいろなものがとりあげられ、後半、それらのものひとつひとつに「おやすみ」をいっていきます。そして、巻末にいくにしたがい、だんだんと部屋が暗くなっていきます。絵をよくみると、ネズミやネコが場所を変えているのがわかりますし、ベッド脇の時計から、何時から何時までのお話だったのか知ることができます。部屋の絵のひとつに、同じ作者たちによる「ぼくにげちゃうよ」の絵が飾られているのは、読者へのサービスでしょう。だんだん夜が深まっていくさまをえがいた、素晴らしい作品です。幼児向き。

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