2012年7月3日火曜日

ずどんといっぱつ














「ずどんといっぱつ」(ジョン・バーニンガム/作 わたなべしげお/訳 童話館 1995)

シンプは、だれがみたってみにくいメスの子イヌでした。だれももらい手がいなかったので、とうとうある日、飼い主のおじさんに、町はずれのごみ捨て場に捨てられてしまいました。
夜になると、たくさんのネズミが姿をあらわしました。「おなかがぺこぺこ」とシンプがいうと、ネズミの一匹がパンをひと切れ差しだしていいました。「朝になったらでていくんだぞ。おれたちネズミだけでも、ここの暮らしはきついんだ。おまえに分けてやる食べものなんぞないからな」

夜が明け、町にむかったシンプは、ゴミ捨て場でノラネコに追いかけられ、野犬狩りの男につかまって車に放りこまれます。なんとか野犬収容所から逃げだしたシンプは、夜、サーカスのテントにたどり着きます──。

「ガンビーさんのふなあそびや」「ひみつだから!」などで名高い、ジョン・バーニンガムによる絵本です。バーニンガムにはいくつかの作風がありますが、本書は「ボルカ」風の、物語性の強いもの。このあと、ピエロのおじさんに拾われたシンプは、サーカスをクビになりそうなピエロのために、大砲に入って打ち出される芸を披露しようとします。最後はもちろん大団円。捨てイヌシンプの活躍が楽しい一冊です。小学校低学年向き。

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