2012年2月15日水曜日

おおきくてもちいさくても……












「おおきくてもちいさくても……」(マリア・エンリカ・アゴスティネリ/絵 エリザベス・ボルヒェルス/作 はせがわしろう/訳 ほるぷ出版 1979)

ご婦人が、悲しそうな顔をして歩いています。新しい服に、新しい帽子、お天気だってとってもいいのに、一体どうしたといいのでしょう。「みんなはすらりとやせているのに、私は太っちょ、100キロなんて」。そこへ、ゾウがやってきたので、女のひとはにっこりします。「太ったゾウの歩きかた、なんて立派なことでしょう」

このゾウは、もう一頭のゾウとくらべたら、特別太っちょなわけではありません。太っちょのゾウは、カバをみてうらやましいと思います。「なんて可愛く小さく素敵なんでしょう。なのに私はこんなに太っちょ」

太っちょな生きものが、自分より小さな生きものをうらやましく思う、という絵本です。絵は、にじみが美しい水彩。このあと、ワニはタゲリを、タゲリはヒタキを、ヒタキはハエをうらやましがります。もちろん、ほかの生きものをうらやむのが、この絵本の本意ではありません。「なにになりたがってもいいけれど、悲しんだりしてはいけません」。詩を思わせる文章の、落ち着いた雰囲気の一冊です。小学校低学年向き。

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