2011年4月27日水曜日

小さなきかんしゃ










「小さなきかんしゃ」(グレアム・グリーン/文 エドワード・アーディゾーニ/絵 阿川弘之/訳 文化出版局 1977)

リトル・スノーリング村で生まれた、ちび機関車は、この村の駅と、となり町のマッチ・スノーリングの駅しか知りませんでした。「一度でいいから、ぼくも急行列車の走る、広い世界をみにいけないかなあ」と、ちび機関車は思っていました。ある朝、ちび機関車はとても早く目がさめました。機関士のポスルスウエイトおじさんは、まだ寝ていました。迷ったあげく、ちび機関車は駅から逃げだしました。

ちび機関車は本線に入りこみ、得意になって走り続けます。大きな鉄橋を渡り、お城のそばを通り、さびしい山道を抜けて、大きな町へ。大きな町の駅はあんまり騒がしいので、ちび機関車はこわくなり、きた線路をもどりはじめます。そのあげく、石炭も残り少なくなっってきて──。

ちび機関車が逃げ出すと、見開きで地図があらわれます。地図の通りにちび機関車は進み、それにあわせて景色も変わっていくのが楽しいところです。ことさら機関車を擬人化したりしていないのですが、にもかかわらず機関車たちに人格があるように見えるのは、アーディゾーニの絵のうまさでしょう。ちび機関車と一緒に、ひと晩の冒険にでたような気分になれる一冊です。小学校中学年向き。

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