2011年3月14日月曜日

ほしになったりゅうのきば










「ほしになったりゅうのきば」(君島久子/再話 赤羽末吉/絵 福音館書店 1977)

昔むかし、ある村に、じいさまとばあさまが住んでいました。ふたりは毎日、だんだん畑をたがやしながら、子どもがほしいといい暮らしていました。ある日、大きな石が落ちてきて、目のまえでぱっと割れ、「おぎゃあおぎゃあ」と声がしました。おじいさんが白い綿を引き裂くと、なかから男の赤ん坊があらわれました。じいさまとばあさまは大喜びで子どもを育て、子どもは日増しに大きくなりました。「この子はいまに、強くて、えらい者になる。だからサン(英雄)と名づけよう」と、じいさまはいいました。

こうして、サンは立派な若者に成長します。ところが、あるとき南山の竜と北海の竜が桃のとりあいでケンカをし、天を破ってしまいます。天の裂け目はちょうどサンの村の上にあり、暑い日にはそこから雨が滝のように降りそそぎ、寒い日には冷たいヒョウが石のように落ちてきます。ひとびとは、山の洞穴に逃げこんだまま外にでることができません。そこで、サンは村人を救うため、天のつくろいかたを知っているという、ライロン山の鳥の巣に住む、緑のひげの老人を訪ねにいきます。

中国の昔話をもとにした絵本です。ストーリーはとても壮大です。このあと、緑のひげの老人の教えで、サンはクマ王を三度訪ね、末の娘を嫁にします。そして、クギと槌(つち)にするため竜たちから牙とツノをとったのち、2人で天にむかいます。赤羽末吉さんの、色鮮やかで神話的な世界が楽しめる読物絵本です。小学校低学年向き。

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