2009年7月30日木曜日

ふしぎなナイフ









「ふしぎなナイフ」(中村牧江/作 林健造/作 福田隆義/絵 福音館書店 1997)

1本のナイフがあります。このナイフは、曲がったり、折れたり、割れたり、溶けたり、切れたり、ほどけたりする、とてもふしぎなナイフです。

写実的に描かれたナイフが、写実的なまま、ほどけたりちぎれたりします。ありえないことが、つぎつぎに起こり、思わず目をみはることうけあいです。幼児から。

2009年7月29日水曜日

ぶたぶたくんのおかいもの












「ぶたぶたくんのおかいもの」(土方久功/作 福音館書店 1985)

ある日、こぶたのぶたぶたくんは、いそがしいお母さんの代わりに、ひとりでお買い物にいくことになりました。はじめにパン屋さんでパンを買い、つぎに八百屋さんでじゃがいもとトマトを買います。そうしたら、おかし屋さんで好きなものを買ってもいいのです。「ぼくキャラメル買ってくるよ」と、ぶたぶたくんは元気に出発しました。

出発したぶたぶたくんは、歌ともひとりごとともつかないことをいいながら歩いていきます。このあたり、読み聞かせをするときどう読むかむつかしいところです。途中、友だちに会ったりしながら、ぶたぶたくんは首尾よく買い物を成し遂げます。巻末に、ぶたぶたくんが歩いた地図が載っているのですが、ちゃんと各場面と地図があっているのがうれしいところです。なんともいえない奇妙な世界が魅力的です。小学校低学年向き。

2009年7月28日火曜日

この世でいちばんすばらしい馬










「この世でいちばんすばらしい馬」(チェンジャンホン/作 平岡敦/訳 徳間書店 2008)

昔、ハン・ガン(韓幹)という、絵を描くのが大好きな少年がいました。家が貧しく、絵筆も紙も買えませんでしたが、有名な画家のクン・ウェイに認められ、宮廷の絵師になるための学校に入ることができました。ハン・ガンは先生のいうことを聞かず、いつも馬の絵ばかり描いていました。不思議なことに、どの絵の馬も、みんなひもでつながれています。友達がそのわけをたずねると、ハン・ガンはこたえました。「いつか命がやどって、絵から抜け出すかもしれないからね」。すると、ある夜、ひとりの武将がハン・ガンのもとにやってきました。

巻末の解説によれば、話は作者の創作ですが、ハン・ガンは8世紀の中国に実在した画家だそうです。話は紹介したところから戦争の惨禍へと続きます。涙をこぼす馬の痛々しい表情に打たれます。小学校中学年向け。

2009年7月27日月曜日

「さるとかに」と「かにむかし」














「さるとかに」(神沢 利子/文 赤羽 末吉/絵 銀河社 1999)
「かにむかし」(木下順二/作 清水崑/絵 岩波書店 1980)

2つとも「さるかに合戦」の絵本です。有名な話なので、紹介文は省略。
昔話はタイトルがいろいろであることが多く、上記の2作もタイトルを知っていないと、さがすのがむつかしいかもしれません。

大勢を相手に読み聞かせをするのにむいているのは「さるとかに」のほう。文章が短くて読みやすく、また赤羽末吉さんの絵はさすがのうまさてす。

「かにむかし」は文章が独特の語り口調で、また一文が長く、読むには熟練を要します。また、クライマックスのところが、絵と文があっていないのも、大勢を相手に読むさいは難点です。とはいえ、本書は一種の風格があり、一気呵成に語られるラストの面白さもあって、お話会でよくつかわれる定番絵本となっています。

下記に、文章の例をあげておきます。

「さるとかに」
《かには、かきの たねを もちかえって、にわに うめました。
みずを やり、こやしを かけて、いいました。
はよう めを だせ
かきの たね
ださんと はさみで
ほじくるぞ
かきの たねは、ほじくられてはたいへんと、あわてて ちいさい
めを だしました。》

「かにむかし」
《かには その たねを うちの にわの す
みに まいておいてから、まいにちまいにち
せっせと みずを かけたり こやしを やっ
たりしては、
「はよう 芽を だせ かきのたね、
ださんと、はさみで、ほじりだすぞ」
というておったら、かきのたねに、ほじりだされ
ては かなわん、とおもうたかして、やがて ち
いさな 芽を だしたそうな。》

2009年7月24日金曜日

バーバ・ヤガー












「バーバ・ヤガー」(アーネスト・スモール/文 ブレア・レント/絵 こだまともこ/訳 童話館出版 1998)

ある日、母さんにいわれて村にかぶを買いにいったマルーシャは、途中でお金を落としてしまいました。そこで、マルーシャはかぶをさがしに、森に入っていきました。ところが、その森は、入ってはいけないといわれていたバーバ・ヤガーの森だったのです。バーバ・ヤガーはとてもおそろしいおばあさんで、悪い子をみつけるとシチューに放りこんで食べてしまいます。ずしーん、ずしーんという音とともに、ニワトリの足が生えたバーバ・ヤガーの小屋があらわれました。

ロシアにつたわる魔女、バーバ・ヤガーを題材にした絵本です。絵は、わずかに色がつけられた版画なのですが、非常に豊かな色彩にみえます。話はふしぎで楽しく、とくに途中からあらわれるハリネズミがかわいらしいです。話は長いので、小学校中学年向け。

2009年7月23日木曜日

歯いしゃのチュー先生












「歯いしゃのチュー先生」(ウィリアム・スタイグ/作 うつみまお/訳 評論社 1991)

チュー先生は、とても腕のいい歯医者です。でも、先生はネズミなので、自分が食べられてしまうような、危険な動物の治療はうけつけません。ところが、ある日、キツネの紳士がチュー先生のところにやってきました。キツネ紳士の様子があまりに哀れなので、先生は奥さんと相談して、治療をしてあげることにしました。

絵はユーモラス、話はトンチが効いています。大人が読んでも、チュー先生がキツネに食べられはしないかと、はらはらしながら読んでしまいます。小学校低学年向き。

ピーターのいす











「ピーターのいす」(エズラ=ジャック=キーツ/作・画 木島始/訳 偕成社 1984)

ピーターにスージーという名前の妹ができました。すると、ピーターのゆりかごはピンクに塗られてしまいました。ピーターの食堂の椅子も、ベッドも、ピンクにされてしまいました。でも、小さいころにすわっていた椅子は、まだピンクに塗られていません。そこで、ピーターは、その椅子をもって家出をしようとしました。

グラフィカルかつ、質感豊かな絵が魅力的な絵本です。妹や弟ができたときの子どもの心情が、とても具体的に、うまくすくいとられています。ピーターが、自分はもう大きいんだと気づく場面がみごとです。小学校初年むけ。