2012年5月24日木曜日

せかいいち大きな女の子のものがたり









「せかいいち大きな女の子のものがたり(ポール O.ゼリンスキー/絵 アン・アイザックス/文 落合恵子/訳 富山房 1996)

アンジェリカがアメリカのテネシーに生まれたのは、1815年8月1日のことでした。そのときは、世界一大きな女の子になるなんて、だれも思っていませんでした。アンジェリカはすくすくと育ち、2歳になったときには、お父さんからもらった斧で丸太小屋を建てるほどでした。12歳のときには、泥にはまったうごけなくなった馬車の一団を「あらよっ」ともち上げて、次つぎと救い出しました。

さて、ある夏のこと、一頭のとてつもなく大きなクマが、テネシー中の村の貯蔵庫を襲いはじめます。そこで、命知らずの男たちがあつまり、クマを仕留めようとします。ですが、男たちはクマの返り討ちにあい、とうとうアンジェリカの出番がやってきます。

絵は、板にえがかれた厚塗りの、じつに雰囲気のあるもの。主人公のアンジェリカはとても表情が豊かです。クマと対決するときは、地面に寝そべり、不敵な笑みを浮かべています。冒頭の肖像画では、すました顔をしています(手につまんでいる花はヒマワリ!)。このあと、アンジェリカはクマをむんずとつかみ、空高く投げ飛ばします。あんまり高く投げ飛ばしたので、クマは夜になっても落ちてきません。でも、クマの毛皮を手に入れると心に決めていたアンジェリカは、竜巻をつかんでクマを引っかけ、地上に引きずり下ろします。絵も物語も柄の大きい、痛快な一冊です。小学校中学年向き。

0 件のコメント:

コメントを投稿