2012年5月17日木曜日

ねこのごんごん









「ねこのごんごん」(大道あや/作 福音館書店 1978)

ある日のこと、小さなネコが、「ごはんが食べたいなあ、うちに帰りたいなあ」といいながら歩いていました。でも、自分のうちがどこだかわかりませんでした。すっかりくたびれたとき、どこからか美味しそうな匂いがしてきました。いってみると、うちがあって、なかにごちそうがあるのがみえました。庭にはイヌがいて、ごちそうのそばには大きなネコが寝ていましたが、小さなネコはかまわずうちに駆け上がり、ごちそうを食べました。そして、お腹がいっぱいになると、とても眠くなり、大きなネコのそばで眠ってしまいました。

小さなネコが目をさますと、大きなネコが「わしについてきなさい」といいます。庭のすみにくると、大きなネコは名乗ります。「わしはちょんというんだ。人間でいえば98歳くらいの年寄りだ」。一緒についてきたイヌも名乗ります。「おれはのんというんだ」。でも、小さいネコには名前がありません。すると、ちょんは小さいネコの頭をなめてこういいます。「おまえはきっと捨てられたネコだ。名無しのごんべえなら、ごんごんという名前にするがよい」──。

捨てネコごんごんの成長物語です。絵は、さまざまなものがあふれんばかりに描かれた、にぎやかな水彩。このあと、ごんごんは失敗ばかりするのですが、そのたびにちょんは、ごんごんにうまいやりかたを教えてくれます。「なにごとも じぶんで おぼえるが かんじん」という、ちょんのことばが本を閉じても耳に残ります。小学校低学年向き。

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