2013年7月4日木曜日

変わり者ピッポ















「変わり者ピッポ」(トレイシー・E.ファーン/文 ポー・エストラーダ/絵 片岡しのぶ/訳 光村教育図書 2010)

フィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂のてっぺんに、いよいよドームがつくられることになりました。でも、大聖堂の大きさは途方もありません。どうやったら、ドームをつくることができるのか、そのやりかたをコンテストで決めることになりました。それを聞いたピッポは、待ちに待ったチャンスがついにきたと思いました。

ピッポの本名は、フィリッポ・ブルネレスキ。すぐれた職人でしたが、くる日もくる日も奇妙な機械を考えたり、設計図を書いたりしていたので、街のひどひとからは「変わり者ピッポ」と呼ばれていました。「コンテストで勝てば、嫌なあだ名もきっと消えるぞ」と、ピッポは思いました。

どうしたら、大聖堂の美しさをそこなうことなくドームを支えることができるのか。大量の大理石を、石切り場からどうやって運び、どうもち上げるのか。ライバルである、高名な彫刻家のロレンツォに馬鹿にされながら、ピッポは考えに考えます。

1377年に生まれた実在の人物、フィリッポ・ブルネレスキについての伝記絵本です。絵は輪郭線のはっきりした、わかりやすい厚塗りのもの。このあと、ピッポはコンテストの委員たちに自分のアイデアを披露しますが、あんまり斬新すぎて、一度は委員たちに蹴られてしまいます。そこで、ひとが入れるほどの模型をつくり、それを委員たちにみてもらって、ついにピッポの案が採用されることになります。ですが、じっさいの建設はロレンツォと協力してやることになって――と、お話は続きます。小学校高学年向き。

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