2013年7月8日月曜日

トリとボク





「トリとボク」(長新太/作 あかね書房 1985)

〈ぼく〉の家から電車に乗って、3つ目の駅で降りて少し歩くと、鳥がたくさんやってくる川があります。夕方になって、鳥が影だけになると、みんな肩を寄せあうようにあつまって、水の上でいろんな形をつくります。鳥たちは数え切れないくらいいっぱいあつまって、ほんとうのゾウより大きなゾウになったり、ぱあーっと散っていって、すーっと固まると、ものすごく大きなクジラになったりします。

鳥たちは動物だけではなく、木になったり、山になったりすることがあります。なってほしいものを大きな声でお願いしても、聞いてはくれません。

鳥たちがいろんな形をつくるのをながめる〈ぼく〉のお話です。絵は、青味がかった色合いの、抒情あふれるもの。鳥たちがいろんなかたちをつくるのは〈ぼく〉だけが知っている秘密です。鳥たちは自分たちの好きなものしかやらないみたいだけれど、〈ぼく〉はそれでいい。鳥たちはオカアサンとオトウサンになったりして、それが〈ぼく〉のお気に入り――。ちょっと、長新太さんの名作「ちへいせんのみえるところ」を思い出させる一冊です。小学校低学年向き。

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