2011年12月26日月曜日

海のおばけオーリー












「海のおばけオーリー」(マリー・ホール・エッツ/作 石井桃子/訳 岩波書店 1979)

ある港のそばの海辺で、アザラシの赤ちゃんが生まれました。お母さんは、赤ちゃんが生まれてから、いく日もごはんを食べていませんでした。そこで、ごはんを食べに海に入っていきました。ところが、海岸にもどってみると、赤ちゃんはいなくなっていました。お母さんが沖で魚をとっているまに、ひとりの水兵が赤ちゃんをみつけ、連れていってしまったのでした。

水兵は、少しはなれた海辺の村で、動物屋の主人に赤ちゃんを売ろうとします。主人は、「なぜ、こんな赤ん坊を親からはなしたんだね。こんなに小さくては死んでしまうよ」と、赤ちゃんを買いとって、オーリーという名前をつけて、ミルクをやって育てます──。

「もりのなか」で高名な、マリー・ホール・エッツによる絵本です。絵は白黒。フキダシこそないものの、漫画のようにコマ割りされています。このあと、大きくなったオーリーは、動物園に売られていきます。ところが、お母さんや海のことを考えて元気がなくなってしまい、そのため館長さんは飼育係に、「今夜だれもいなくなったら、オーリーを水からだし、頭をひと打ちして殺しておくれ」と指示します。ですが、飼育係はオーリーを湖に放し、それから湖にお化けがでるという噂が立ちはじめ…と、物語は続きます。物語の最後、見開きでオーリーがたどった旅がえがかれ、まるでオーリーと一緒に長い旅をしたような気持ちになります。小学校中学年向き。

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