2009年9月9日水曜日

ガラスめだまときんのつののやぎ









「ガラスめだまときんのつののやぎ」(田中かな子/訳 スズキコージ/絵 福音館書店 1988)

あるところに、おばあさんがいました。おばあさんは畑をたがやし、麦をうえました。麦は青あおと茂り、それはそれは大きくなりました。ところが、ある日、おばあさんが畑にいってみると、1頭のやぎが麦を食べては踏んづけて、のっしのっしと歩いていました。「でてけったらでていけ」と、おばあさんはやぎにいいましたが、やぎはでていきません。どうしようもなく、泣きながら歩いていると、おばあさんは一頭のクマに出会いました。

おばあさんに同情したクマは、やぎを追い出そうとしますが、逆に追い返されてしまいます。このあとはくり返し。オオカミもキツネもウサギも、やぎに撃退されてしまいます。いったい、やぎを追い出すことができるのはだれなのでしょう。白ロシア民話。切り絵でつくられたスズキコージの絵が、迫力があります。それにしてもヤギは強い! 小学校低学年向き。

2009年9月8日火曜日

かものむすめ









「かものむすめ」(松谷さやか/訳 オリガ・ヤクトーヴィチ/絵 福音館書店 1997)

昔、おじいさんとおばあさんが暮らしていました。ふたりには子どもがなかったので、いつも子どもがいたらよかったのにと思っていました。ある日、森にきのこ狩りにでかけたふたりは、足の折れたかもをみつけました。ふたりは、巣に入れたままかもを抱いて帰り、腰かけの下にそっと置くと、またきのこ狩りにでかけました。やがて、家に帰ると、家のなかがきれいにかたづけられていて、テーブルの上にはパンと、おいしそうなボルシチがありました。

ウクライナ民話の絵本です。この後、おじいさんとおばあさんは美しい娘になったかもに、うちの子になってくれとお願いしますが、娘は聞き入れません。娘は糸をつむぎながら、空をゆくかもの群れと歌をかわしあいます。このとき、かもたちは、娘に一緒に飛んでいけるように羽を投げてあげようと歌うのですが、娘のほうは、わたしが森で足をくじいたとき、だれも待ってはくれなかった歌います。すぐに仲間と和解しないところが、面白いです。絵は澄んだ、味わいぶかいもの。最後、かもむすめに去られたおじいさんとおばあさんの表情がなんともいえません。「こどものとも世界昔ばなしの旅」シリーズ3。現在品切れ。 小学校低学年向き。

2009年9月7日月曜日

あたまにつまった石ころが












「あたまにつまった石ころが」(キャロル・オーティス・ハースト/文 ジェイムズ・スティーブンソン/絵 千葉茂樹/訳 光村教育図書 2002)

わたしの父は子どものころ、石をあつめていました。大人になった父は、自分の父親とガソリンスタンドをはじめました。ところが、大恐慌が起こり、不景気になると、父はわたしたち子どもをつれて、石をさがしにいくようになりました。仕事がみつからず、雨が降っている日には、父はバスに乗って科学博物館にでかけました。ある日、父は博物館で女のひとに声をかけられました。そのひとは、この博物館の館長でした。

館長のグレース・ジョンソンさんは、お父さんの石の知識に感心します。お父さんは大学をでていないので、博物館で雇うことはできないのですが、夜の管理人の仕事につくことができました。ある日の朝早く、お父さんがまちがっていた石のラベルを直していると、ジョンソンさんがやってきていいました。「わたし、理事会で話してみたんですよ。ここに必要なのは、あたまのなかとポケットが石でいっぱいのひとだって」。

好きなことを一途にやりつづけたお父さんの物語です。巻末のあとがきによると、博物館の鉱物学部長になったお父さんは、はたらきながら大学にかよったそうです。作者はこう記しています。
《父が情熱をかたむけたのは、石や鉱物だけではありませんでした。「学ぶ」ということそのものをこよなく愛し、尊重していたのです。》
《父ほど幸福な人生を送った人を、わたしはほかに知りません。》
2001年度ボストングローブ・ホーンブック賞、ノンフィクション部門オナー賞受賞。小学校中学年向け。

2009年9月4日金曜日

はなとひみつ












「はなとひみつ」(星新一/作 和田誠/絵 フレーベル館 2009)

花が大好きなハナコちゃんは、ある日、モグラをならすことができたら面白いだろうなと思いました。モグラたちに、地面の下をうごきまわらせて、草木の世話をさせるのです。ハナコちゃんがその思いつきを絵に描いたところ、風が吹いてきて、絵がとばされてしまいました。空に舞い上がった絵は、どんどん飛ばされ、カモメにくわえられて、ある島の建物に落ちました。その建物は、ある国がつくった秘密の研究所で…。

星新一の文章は、子ども向けでもクールです。冒頭を引用してみます。

《ハナコちゃんは、はなが だいすきだった。
 おんなのこは だれでも はなが すきだが、
 ハナコちゃんは、とくに
 はなが すきだったのだ。》

話は面白く、絵も話によくあっていて、素敵な一冊になっています。小学校低学年向き。

2009年9月3日木曜日

あかてぬぐいのおくさんと7にんのなかま









「あかてぬぐいのおくさんと7にんのなかま」(イヨンギョン/作 かみやにじ/訳 福音館書店 1999)

昔、頭に赤い手ぬぐいをかぶっている奥さんがいました。奥さんはお針がとても上手で、部屋にはいつも、物差し、ハサミ、針、糸、指ぬき、のしごて、火のしの7つの道具がおいてありました。ある日、奥さんがうたたねしていると、背の高い物差し夫人が、みんなを見下ろしていいました。「うちの奥さんがお針が上手なのは、なんといってもわたくしがいるからですわ」。それを聞いたハサミお嬢さんが、口をとがらせていいました。「いくら寸法をはかっても、きれいに布を切らなければなんにもならないわ」。すると、こんどはすまし屋の針娘が…。

というわけで、裁縫道具がつぎからつぎへと自慢していくお話。道具たちの性格づけが、それぞれ特徴を彷彿とさせます。しまいには、奥さんも自慢をはじめるのですが、道具たちと同レベルなのがおかしいです。最後に、みんなで歌をうたって終わりになります。お話会などで、女のひとが読んだら楽しそうな1冊です。小学校低学年向き。

2009年9月2日水曜日

てぶくろ












「てぶくろ」(エウゲーニー・M・ラチョフ/作 内田莉莎子/訳 福音館書店 1995)

ある日、雪のなかを歩いていたおじいさんは、手袋を片方落としてしまいました。すると、ねずみが駆けてきて、手袋にもぐりこみました。「ここで暮らすことにするわ」。そこへカエルがやってきました。それから、ウサギに、キツネに、灰色オオカミ。手袋にすむ仲間たちはどんどん増えていきますが…。

お話会の定番絵本のひとつです。手袋に大勢の動物たちがすむなんてありえないことなのですが、ラチョフがえがくとありえそうに思えるから不思議です。動物たちが増えるにしたがい手袋も改築されていくのが楽しいです。3歳から。

2009年9月1日火曜日

ぼうし










「ぼうし」(ジャン・ブレット/作 松井るり子/訳 ほるぷ出版 2005)

冬がきます。リサが冬物を外に干すと、くつ下が片方、風に吹きとばされてしまいました。そこへ、知りたがりやのはりねずみのハリーがやってきて、くつ下に鼻を突っこみました。すると、くつ下がとれなくなってしまいました。「ハリーはなにをかぶっているの?」と、ほかの動物たちに訊かれるたびに、ハリーは帽子なんだといいはります。

細かく、ていねいにえがかれた絵です。画面の上方にえがかれた冬物が、ページをめくるごとに姿を消していくのですが、最後にその理由がわかります。小学校低学年向き。