2012年4月19日木曜日

とんでとんでサンフランシスコ










「とんでとんでサンフランシスコ」(ドン・フリーマン/作 やましたはるお/訳 BL出版 2005)

サンフランシスコにある高いビルの屋上に、ネオンサインの看板がそびえていました。その看板のBの文字の内側に、一羽のハトがすんでいました。通りの向かいのビルディングの張りだしに巣をつくっているハトたちは、あんなところにすむなんて、かなりいかれたやつだと思っていました。でも、白い羽の雌バトだけは、お向かいのハトはきっとあの文字にすむちゃんとしたわけがあるにちがいないわと信じていました。

毎朝、灰色バトと白ハトは空中で落ちあい、朝ごはんをついばむためにユニオン・スクエア公園にやってきます。そこには、ハイ・リーさんというひとが決まってやってきていて、紙ぶくろからパンくずをまいてくれ、いつもこの2羽のハトに、「おはよう、シッドとミッジ」と声をかけてくれます。そして、シッドとミッジはBの文字のところで巣づくりをはじめるのですが──。

「くまのコールテンくん」などで高名なドン・フリーマンによる絵本です。絵はおそらく色鉛筆でえがかれたもの。1日の時間の移り変わりや、ハトの飛翔感など、大変たくみにとらえられています。また、ハトがハトらしくえがかれているのもみごとです。このあと、ミッジがタマゴをあたためていると、突然看板がうごきだします。男たちが看板をとりこわしはじめたのです。シッドは、いなくなってしまった看板と、ミッジとタマゴをさがしてサンフランシスコの町を文字どおり飛びまわります。1985年度コールデコット・オナー賞受賞。小学校中学年向き。

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