2012年4月11日水曜日

ジオジオのかんむり












「ジオジオのかんむり」(岸田衿子/文 中谷千代子/絵 福音館書店 1980)

ジオジオはライオンのなかでも一番強いライオンでした。ジオジオの冠がちかっと光ると、だれでもこそこそかくれてしまいました。でも、白髪が生え、目がよくみえなくなってきたジオジオは、キリンを追いかけるのもシマウマを追いかけるのもいやになり、だれかとゆっくり話したくなっていました。

ある日、灰色の小鳥がやってきて「ジオジオの王さま、つまらなそうですね」と話かけてきます。「わたしもつまんないんです。6つもあったタマゴがみんななくなってしまったんですよ。3つはヒョウが盗んだんです。2つはヘビが飲みこんだんです。あと、ひとつは川に落っことしてしまったんです」。それを聞いたジオジオは、「あーっと、いいこと考えた。タマゴを生みたいならいいところがあるぞ」と、灰色の小鳥に耳打ちします──。

「かばくん」の作者たちによる絵本です。「かばくん」同様、文章は大変洗練され、ジオジオの造形はじつにみごと。さて、ジオジオが考えた「いいところ」とは、頭の上の冠のなか。灰色の小鳥は喜んで、そこにタマゴを生み、ぶじヒナをかえします。年をとったライオンが、小鳥に冠のなかを貸すという、どことなく愁いのきいた一冊です。小学校低学年向き。

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