2012年4月12日木曜日

おかあさんだいすき












「おかあさんだいすき」(光吉夏弥/訳・編 岩波書店 1983)

「おかあさんのたんじょう日」「おかあさんのあんでくれたぼうし」の2編が収録された絵本です。

まず、「おかあさんのたんじょう日」(マージョリー・フラック/絵)から。
あるところに、だにーという男の子がいました。きょうはお母さんの誕生日です。だにーはお母さんにあげるものをみつけにでかけました。

だにーはメンドリやガチョウやヤギやヒツジやウシに会って、「お母さんにあげるものはないかしら」とたずねます。そのたびに「それじゃ一緒になにかさがしにいきましょう」と、だにーと同行する動物が増えていきます。でも、山のむこうにいるクマさんには、みんな会いにいきたがりません。そこで、だにーはひとりで山にでかけていくのですが──。

マージョリー・フラックの絵は、少ない色数をたくみに組みあわせて見栄えのする画面をつくりだしています。文章はタテ書き。「そこで、だにーはと めんどりと がちょうと ひつじは、ぴょんぴょこ ぴょんぴょこ、かけて いきました」という、くり返し部分の躍動感が魅力的です。

もう一編は、「おかあさんのあんでくれたぼうし」(大澤昌助/絵)。
あるところに、あんでるすという男の子がいました。あんでるすは、お母さんが編んでくれた、とてもきれいな帽子をもっていました。帽子をかぶり、どこかへでかけたくなったあんでるすき、表へ散歩にいきました。

あんでるすは、兄さんの友だちから、ナイフと帽子をとりかえっこしようといわれます。でも、「だめ!」とあんでるすは断ります。御殿の舞踏会にいき、お姫さまから、首飾りと帽子をとりかえっこしようといわれても、まだうんといいません。このあと、王様に冠と帽子をとりかえっこしようといわれるのですが──。

絵は親しみやすい水彩。文章はタテ書き。2つのお話とも、最後、男の子はお母さんの胸に飛びこみます。ちなみに、「おかあさんのたんじょう日」の原書“ASK MR.BEAR”をみると、日本語版のレイアウトの巧みさに驚かされます。幼児向き。

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