2012年3月16日金曜日

かばくん









「かばくん」(岸田衿子/文 中谷千代子/絵 福音館書店 1966)

朝、男の子はカメを連れて動物園にやってきました。カメはカバと一緒に動物園で一日をすごします。子どもたちが大勢見物にきて、カバはキャベツを丸飲みにします──。

カメがカバと一日をすごすという絵本です。文章は、詩でで表現されています。冒頭を少し引用してみましょう。

〈どうぶつえんに あさが きた
 いちばん はやおきは だーれ
 いちばん ねぼすけは だーれ

 おきてくれ かばくん
 どうぶつえんは もう11じ
 ねむいなら ねむいと いってくれ
 つまらないから おきてくれ〉

詩にはほとんど主語や目的語がありません。でも、絵をみると、だれがだれにいっているのか、なんとなくわかります。これは見事な構成のためでしょう。絵は、おそらく油絵。カバの量感や、色であわらされた一日の移り変わりなどが、たくみに表現されています。リズミカルな詩とともに、何度も読み返したくなる一冊です。幼児向き。

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