2012年3月7日水曜日

白鳥の湖












「白鳥の湖」(ピョートル・チャイコフスキー/原作 リスベート・ツヴェルガー/文・絵 池田香代子/訳 ブロンズ新社 2009)

昔、ひとりの王子がいました。くる日もくる日も遊んでばかり、夜は宴にうつつを抜かしていました。王子のお母さまは、18歳になった息子にいいました。「いつまでそんなことをしているおつもり? あした舞踏会を開きます。姫君たちをおまねきしますから、そのうちのどなたかと結婚しなさい」。けれども、王子には結婚する気などさらさらありませんでした。すると、そのとき、空いっぱいに白鳥の群が飛んでいきました。王子は、宴の客たちと一緒に白鳥を狩りにいきました。

お酒を飲んだあと急に走ったりしたので、王子はひとり湖のほとりで休みます。すると、世にも美しい娘があらわれます。娘は、悪い魔法使いに白鳥の姿に変えられてしまったのだと、身の上を打ち明けます。「わたしを救えるのはただひとつ、本当の愛だけなのです」。そこで、王子は永遠の愛を誓うのですが──。

チャイコフスキーのバレエ、「白鳥の湖」をもとにした絵本です。黒い白鳥が現れる場面では、ページが黒くなるという工夫がなされています。バレエの「白鳥の湖」は悲劇ですが、この絵本はハッピーエンドで終わります。というのも、もともとチャイコフスキーは、このバレエをハッピーエンドとして考えていたそうで、あとがきで作者のツヴェルガーはこう書いています。「それを知って、わたしがどれほどうれしかったか、おわかりいただけるでしょう」。品があり、繊細な美しさがあるツヴェルガーの絵の魅力が、充分に楽しめる一冊です。小学校中学年向き。

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