2011年11月14日月曜日

ふわふわしっぽと小さな金のくつ












「ふわふわしっぽと小さな金のくつ」(デュ・ボウズ・ヘイワード/作 マージョリー・フラック/絵 羽島葉子/訳 1993)

イースター・バニーとは、たった半日のあいだに、世界中をまわって、子どもたちに幸せを呼ぶタマゴを届けるウサギたちのことです。世界中のウサギのなかから、心がやさしくて、足が速くて、おまけにとても賢いウサギが5匹だけえらばれます。イースター・バニーが年をとってはやく走れなくなると、卵宮殿に住む長老ウサギが、世界中のウサギをあつめ、代わりをつとめるのにもっともふさわしい者をえらぶのです。

さて、あるとき、からだは茶色、しっぽは綿の実のように白くてふわふわなので、ふわふわしっぽという名前の田舎ウサギの女の子が、こんなことをいいました。「大人になったら、わたし、イースター・バニーになるの。いまに見てて!」。それを聞いて、大きな真っ白ウサギや、長い足でビュンと走りまわる野ウサギは笑いました。時がすぎ、ふわふわしっぽは大人になり、結婚して21匹のふわふわしっぽの赤ちゃんを生みました。真っ白ウサギや野ウサギは笑いながら、「おまえの仕事は子守だよ。イースターは、おれたちみたいに立派な男のウサギにまかせとけって」といいました。ふわふわしっぽは、幸せのタマゴを世界中の子どもに贈る夢をあきらめて、自分の子どもの世話をすることにしました。

子どもたちが大きくなると、ふわふわしっぽは銘々に、お掃除や料理や洗濯や裁縫や、歌やダンスのしかたなどを教えました。ある日、イースター・バニーの1匹が年をとってはたらけなくなったので、長老ウサギが新しいウサギをえらぶという話を耳にしました。そこで、ふわふわしっぽは少し悲しい気持ちをおぼえながら、子どもたちを連れて卵宮殿に見物にいくことにしました──。

イースター・バニーを主人公にした絵本です。イースターの説明がカバー袖にあるので、引用してみましょう。

《イースターは、キリスト教を信奉する国々で、もっとも大事なお祭りのひとつ。キリストが死後3日目に復活したことを記念し、また春のおとずれに感謝するお祝いです。イースターの祝日は、春分の日のあとの満月のつぎにくる日曜日。だから、その年によって日付がちがいます。》

《イースターに欠かせないのが、このお話の主人公にもなっているイースター・バニー、幸運をよぶ卵を配るうさぎです。うさぎは、春になるとたくさん子どもを産むので、生命や多産の象徴、卵は復活の象徴といわれています。この日は、ゆで卵にきれいに絵を描いてプレゼントしたり、うさぎの形をしたチョコレートやキャンディーを食べたりして楽しく過ごします。》

絵は古風な、しかしウサギの姿がじつに可愛らしいもの。絵を描いたマージョリー・フラックは、「アンガスとあひる」の作者です。文章は漢字が多いのですが、すべてルビが振ってあります。物語はこのあと、ふわふわしっぽが長老ウサギにみこまれて、イースターバニーの仕事をすることになり…と続きます。ふわふわしっぽの活躍が楽しい読物絵本です。小学校中学年向き

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