2011年9月6日火曜日

ちいさなもみのき












「ちいさなもみのき」(マーガレット・ワイズ・ブラウン/文 バーバラ・クーニー/絵 かみじょうゆみこ/訳 福音館書店 1993)

森のはずれの、大きな緑の木々から少しはなれたところに、小さなモミの木が一本立っていました。モミの木は、自分が小さくて、森からはなれて立っているのを、少しさびしく思っていました。ある日のこと、男のひとがシャベルを肩にかついで、モミの木のところにやってきました。男のひとは、小さなモミの木の周りに穴を掘ると、モミの木を掘りだし、長く伸びた根を麻袋に入れてくるみ、肩にかついで歩きだしました。

男のひとは森を抜けながら、モミの木にこう話しかけます。春がきたら、おまえを見つけたところへ連れていって、また植えてやるからな。毎年冬には、うちにお祝いをしにやってきて、春にはもとの緑の野に帰っていくんだ。ここまでやってこられない、私の息子と一緒に大きくなってやってくれ──。

クリスマス絵本の一冊です。途中、楽譜付きの歌が三度でてきます。バーバラ・クーニーの絵は、色数が少ないにもかかわらず、とても鮮やかです。このあと、足が悪くベッドからでたことのない男の子の部屋にはこばれたモミの木は、そこで飾りつけられクリスマスツリーになります。そして、春になると森のはずれに帰り、冬になると、また男の子の部屋のクリスマスツリーになります。ラストの意外な展開がうれしい一冊です。小学校低学年向き。

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