「くまおとこ」(グリム/原作 フェリクス・ホフマン/絵 酒寄進一/訳 福武書店 1984)
昔、ひとりの若者がいました。戦争のあいだ、兵隊として勇敢にたたかっていました。でも、戦争が終わると兵隊をやめることになりました。「どこへでもいってしまえ」と隊長はいいました。
若者は旅を続け、荒れ地にある木立ちにたどり着きます。そこで、ひと休みしていると、緑の服を着て、片足が馬の足をした男があらわれます。男は、若者の勇気をためすため、若者にクマをしかけます。若者がなんなくクマを退治すると、こんな話をもちかけます。「からだを洗わず、ひげをそらず、髪をとかさず、爪を切らずに7年のあいだすごすのだ。お祈りもしてはいけない」。若者が思いきってやってみるというと、男はポケットからほしいだけのお金がでてくる緑の服を脱ぎ、若者に渡します。さらに、クマの皮をはいで、これがマントだといいます。「寝るときも脱いではならん。おまえはクマ男になるのだ」
グリム童話をもとにした絵本です。片足が馬の足をした男は、もちろん悪魔。このあと、何年かたち、クマ男はひどい風体になりますが、どこへいっても「わたしのために祈っておくれ」と頼みながら、貧しいひとにほどこしをしてまわります。あるとき、宿に払うお金がなくて困っているおじいさんを助けると、おじいさんの3人の娘をを紹介され、クマ男をいやがらない末の娘と結婚することになります。クマ男は指輪を2つに折り、娘に渡してこういいます。「わたしはまだ3年のあいだ旅を続けなくてはなりません。3年してもどってこなければ、わたしのことを忘れてください」──。ホフマンは本書でも素晴らしい仕事をしています。小学校低学年向き。
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