2012年3月23日金曜日

マッチうりの女の子












「マッチうりの女の子」(ハンス・クリスチャン・アンデルセン/作 スベン・オットー/絵 乾侑美子/訳 童話館 1994)

大みそかの夕方、ひとりの貧しい女の子が、雪の降る町を歩いていました。女の子は帽子をかぶらず、足ははだしでした。その足は、寒さのせいで赤や青のまだらになっていました。すりきれたエプロンのなかにはマッチをたくさん入れ、手にもひとたば握っていました。その日一日中、だれも女の子のマッチを買ってくれませんでしたし、だれも銅貨一枚さえくれませんでした。

家に帰る気にはなりません。1本のマッチも売っていないのですから、きっとお父さんにぶたれるでしょう。女の子は、一軒の家のかげに身をよせます。マッチを1本すると、あたたかな明るい炎が燃え上がり、女の子はまるで鉄のストーブの前にすわっているような気分になります──。

アンデルセン童話「マッチ売りの少女」をもとにした絵本です。絵を描いたスベン・オットーも、アンデルセンと同国のデンマークのひと。水彩でえがかれたその絵は、品があり、情感に満ちています。絵本化されたアンデルセン童話のなかでも、出色の一冊です。小学校低学年向き。

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