「クリスマス人形のねがい」(ルーマー・ゴッデン/文 バーバラ・クーニー/絵 掛川恭子/訳 岩波書店 2001)
クリスマスイブの朝、小さな田舎町にある、ブロッサムさんのおもちゃの店では、おもちゃたちが「どんなことがあっても今日中に買ってもわらなくちゃ」と、ささやきあっていました。みんなはだれかに買ってもらえるよう願いごとをし、お人形のホリーも同じように願いごとをしました。
さて、とある大きな町の町はずれに、セント・アグネスという名前の大きな家がありました。そこに、アイビーという、6歳になる女の子が住んでいました。ほかの男の子や女の子たちは、みんなクリスマスのあいだ預かってくれる親切なおばさまやおじさまの家にいったのですが、アイビーのことはだれも招いてくれませんでした。「いいもん、あたしアップルトンのおばあちゃんのところにいくんだもん」と、アイビーはいいました。でも、ほんとうはアイビーにおばあちゃんなんていませんでした。
アイビーは「幼子の家」というところにいかされることになります。ところが途中、アップルトンの駅で、アイビーはスーツケースもなにも忘れたまま降りてしまいます──。
「人形の家」(岩波書店)などで高名なルーマー・ゴッデンと、「ルピナスさん」をえがいたバーバラ・クーニーによる読物絵本です。このあと、警官のジョーンズさんやその奥さんが登場し、物語は思いもかけないほうに進んでいきます。そして、「これは、ねがいごとのお話です」という冒頭の一文からはじまったように、願いごとはなにもかもかなって大団円をむかえます。その物語はこびの見事さにはほれぼれします。小学校高学年向き。
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