「とら猫とおしょうさん」(おざわとしお/再話 かないだえつこ/絵 くもん出版 2010)
昔、ある村の貧乏寺に、ひとりの和尚さんがいました。和尚さんは、トラ毛のネコをとても可愛がっていて、夜になると、布団に入れて一緒に寝ていました。ところが、夜中になると、トラはいつもいなくなっていました。
ある晩、和尚さんはトラがどこへいくのか確かめてみようと思います。眠ったふりをしていると、トラは布団からでて、和尚さんの衣を着て外にいき──。
青森県八戸市で語り継がれた「猫檀家」という昔話をもとにした絵本です。絵は、水彩と色鉛筆でえがかれた親しみやすいもの。空間がよく表現され、絵というよりも画面といいたくなります。このあと、トラのあとをついていった和尚さんは、古寺で大勢のネコたちが宴会を開いているところにでくわします。うっかりくしゃみをすると、ネコたちはあっというまにいなくなり、そして翌朝、トラは和尚さんにいとまを告げにあらわれます。そのとき、お世話になったお礼にと、トラはこんなことを話します。「2、3年すると、となり村でお葬式があります。その途中、わたしが棺桶を空に巻き上げます。そこへきて、「なむからたんの、とらやんのや」とお経をあげてください。そしたら、棺桶を下ろしましょう」──。因果関係があるのかないのかよくわからないところに魅力があります。小学校中学年向き。
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