「川をはさんでおおさわぎ」(ジョーン・オッペンハイム/作 アリキ・ブランデンバーグ/絵 ひがしはじめ/訳 アリス館 1981)
昔、「川のほとりのウィンロック」と呼ばれる小さな村がありました。川には古ぼけた木の橋がかかり、村人は川の東と西に分かれてくらしていました。村には、鍛冶屋がひとり、仕立屋がひとり、医者がひとり、煙突掃除屋がひとり、靴屋がひとり、お百姓がひとり、パン屋がひとり、はた織り屋がひとり、それにきこりがひとり住んでいました。
川の東側に暮らす村人と、西側に暮らす村人は、あまり仲が良くありません。いつも、けんかばかりしています。ある晩、嵐が吹き荒れて橋がこわれてしまうのですが、東の村人も西の村人も橋を直そうとしません。おかげで、東の村人も、西の村人もおだやかに暮らすのですが──。
川の両岸に住む村人たちが、仲たがいをやめて仲良く暮らすという絵本です。このあと、パン屋は煙突掃除をしなければならないと思うのですが、煙突掃除屋は川の向こう岸にいます。そのころ、煙突掃除屋は靴をだめにしてしまうのですが、靴屋は川の向こう側にいます。この調子で、仕事を頼みたい相手はみんな向こう岸にいて…とお話は続きます。絵は、輪郭線のはっきりした、絵本らしいもの。必要な相手がみんな川の向こう側にいるという、くり返しが楽しい一冊です。小学校低学年向き。
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