2011年12月19日月曜日

あかいぼうしのゆうびんやさん












「あかいぼうしのゆうびんやさん」(ルース・エインズワース/作 こうもとさちこ/訳と絵 福音館書店 2011)

手紙をだしたいと思ったとき、動物や鳥たちは、大きな石の下に手紙を置きました。でも、手紙を届けてくれる郵便屋さんがいなかったので、みんなは自分に手紙がきているかどうか、石の下をのぞいてみなければなりませんでした。石の下をのぞきにいかないと、手紙が何週間も置きっぱなしになり、カブトムシが封筒のすみをかじったり、カタツムリが銀色のすじをつけたりすることになりました。そこで、動物たちは、郵便屋さんをきめることにしました。

郵便屋さんには3匹の動物が名乗りをあげます。「ぼくは木に登るのが上手だから、木にすんでいる動物たちにも手紙を配達できる」と子ネコ。「ぼくなら木の枝から枝へ飛びうつっていけるから、地面がどろんこでも手紙を汚さないよ」とリス。「ぼくは口にものを食わえてはこぶのになれているから、手紙を落としたり絶対しないよ」とイヌ。じつは、コマドリも郵便屋さんになりたいなあと思っていたのですが、ほかの動物たちがみんな立派にみえたので、首をかしげてみんなのいうことを静かに聞いていました──。

作者のエインスワースは「こすずめのぼうけん」などで高名です。絵は、線画に水彩で着色した、余白を充分にとったさっぱりしたもの。このあと、子ネコとリスとイヌとで、ためしに一日ずつ、代わりばんこに郵便屋さんをやってみて、だれが一番郵便屋さんにふさわしいかをみてみることになります。ですが、3匹はそれぞれヘマをしてしまい、そこで…と物語は続きます。最初の見返しでは手紙を食わえていないコマドリが、後ろの見返しでは食わえているところなど、細かいところまで楽しい一冊です。小学校低学年向き。

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