「チワンのにしき」(君島久子/文 赤羽末吉/絵 ポプラ社 1994)
昔、チワンの村に、それは美しい錦を織るおばばがいました。ある日、町へいった帰り道、ひょいと道ばたの店をみると、目のさめるような絵がかけてありました。「ほんにまあ、みごとな山里の景色よのお」と、おばばはうっとりとその絵にみとれていましたが、もうとてもたまらず、ありったけのお金をだして、その絵をゆずってもらいました。
それからというもの、おばばはその絵をながめては、ため息ばかりついていましたが、3番目の息子のロロに、「この景色を錦に織ったらどうだ」といわれ、毎日毎日、昼も夜も織り続け、3年後、とうとう素晴らしい錦を織り上げました。
中国西南部にすむチワン族の民話をもとにした絵本です。巻末の君島久子さんによ文章によれば、チワン族の女性たちは錦織りがたいそう上手なことで昔から有名だったそうです。このあと、おばばが織った錦は、ふいの突風にさらわれて、どこかに飛んでいってしまいます。錦をさがしてくれるように、1番目の息子のロモと2番目の息子のロテオに頼みますが、薄情なかれらはそのままおばばのもとを去ってしまいます。そこで、3番目の息子のロロがさがしにでかけ、途中出会った白髪のおばばの助けをかりて、仙女たちのもとにあったおばばの錦を手に入れて──と、物語は続きます。ラスト、おばばの錦が広がる場面は圧巻です。小学校中学年向き。
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