2011年12月16日金曜日

うまかたやまんば











「うまかたやまんば」(おざわとしお/再話 赤羽末吉/画 福音館書店 1988)

昔、あるところにひとりの馬かたがいました。ある日のこと、馬かたは、浜でどっさり魚を仕入れ、それを馬の背に振り分けにつけて、山道を登っていきました。日が暮れて、峠にさしかかると、やまんばがゆうっとでてきて、「これ、待ってろ。その魚おいてけ」と、しわがれ声でいいました。

馬かたは怖くなり、片方の荷物を後ろへ投げて逃げていきます。すると、やまんばは荷物の魚をばりばり食べて、また馬かたを追いかけてきます。馬かたは、もういっぽうの荷物も、それから馬の足も、もう一本の馬の足も、ついには馬を捨てて、命からがら木の上に身をひそめます──。

日本の昔話をもとにした、少し怖い絵本です。巻末の文章によれば、宮城県登米郡につたわっている話(佐々木徳夫編「みちのくの海山の昔」所収)をもとに、再話したということです。このあと、やまんばをうまくやりすごした馬かたは、ある一軒家にたどり着きます。じつは、そこはやまんばの家で、梁の上にかくれた馬かたは、帰ってきたやまんばをことあるごとにだし抜き、みごと馬の仇をとります。馬かたが梁の上にかくれた場面では、絵本をタテにして読むつくりになっています。小学校低学年向き。

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