2011年12月22日木曜日

トラのじゅうたんになりたかったトラ












「トラのじゅうたんになりたかったトラ」(ジェラルド・ローズ/作 ふしみみさを/訳 岩波書店 2011)

昔、インドのジャングルに一頭のトラがすんでいました。すっかり年をとり、獲物をめったにとれなくなってしまったので、骨と皮ばかりになっていました。夜、トラはよく窓から王様の宮殿をのぞきました。王様と家族がおいしそうにごはんを食べているのをみて、いいなあ、オレも仲間に入りたいなあと思いました。

ある日、トラは、召使いが宮殿の庭にじゅうたんを干し、ほこりを払っているのをみかけます。じゅうたんのうちの一枚はトラの毛皮で、思いついたトラは茂みに毛皮をかくし、自分が洗濯ひもにぶら下がります──。

作者のジェラルド・ローズは、「大きなかしの木」を書いたひとです。このあと、ぶじ宮殿に入りこんだトラは、夕食のあとだれもいなくなると、じゅうたんのふりをやめて残りものをたいらげます。トラにとって素晴らしい日々が続くのですが、だんだんふっくらとして、毛並みがよくなってきてしまって…と、物語は続きます。絵は、線画に水彩で着色した、お話によくあったユーモラスなもの。トラのじゅうたんになりたいトラという、意表をついた着想が楽しい一冊です。小学校低学年向き。

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