「かいつぶり」(石部 虎二/作 須川 恒/監修 福音館書店 2003)
カイツブリはハトぐらいの大きさの水鳥です。水にもぐったかと思うと、思わぬところからぽかっと浮かび上がってきます。くちばしに、きらりと光る小魚を食わえていることもあります。
カイツブリは夫婦でひとつの縄張りをもっています。となりにすむカイツブリは入ってきたときは、縄張りの境目まで追い返して、そこでにらめっこをしてから別れます。ところが、きょうはちがいました。ふた組の夫婦が入り乱れて、大げんかになったのです──。
〈わたし〉による、カイツブリの観察記です。絵は、線画に水彩で着色したもの。カイツブリが非常に愛情深くえがかれており、また塗り残した部分が、空間に広がりをあたえています。さて、カイツブリの夫婦たちが大げんかをしたのは、巣にタマゴがあるからでした。このあと、ヒナがかえり、カイツブリの子育てが記されます。「かわせみのマルタン」などとくらべると、作者のカイツブリに対する距離感はいつも一定で、近づいたり、はなれたりすることはありません。こんなところも面白いところです。小学校中学年向き。
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