「うちがいっけんあったとさ」(ルース・クラウス/文 モーリス・センダック/絵 わたなべしげお/訳 岩波書店 1978)
《うちが いっけん あったとさ──
りすの うちでは ありません
ろばの うちでも ありません
──しりたかったら さがしてごらん──
どこの とおりに あるのかな
どこの よこちょうに あるのかな──
ぼくだけ しってる うちなのさ。》
そのうちには、とても素敵なベッドがあり、とても素敵な棚があり、壁は落書きするため、テーブルはぽんと両足のせるため──。
「にんじんのたね」などの作者、ルース・クラウスによる詩に、センダックが絵をつけた絵本です。二人の作品には「あなはほるものおっこちるとこ」があります。茶色の紙に、ぼうやの〈ぼく〉だけが、白抜きに青いオーバーオール姿でえがかれ、〈ぼく〉以外はみな、ひと筆書きのような、ユーモラスな線画でえがかれています。さて、〈ぼく〉は、どこにいくにもサルにスカンク、カメにウサギに大男にライオンじいさんを連れていきます。ライオンじいさんは椅子の詰めものが大好きで、もぐもぐ食べてしまうし、サルはとんぼ返りをして、天井にとんとん足跡をつけていきます。ところで、「ぼくだけしっているうち」は、一体どこにあるのでしょう。渡辺茂男さんの訳文もじつにみごと。詩と絵が一体となって踊っているような、素晴らしくリズミカルな一冊です。小学校低学年向き。
0 件のコメント:
コメントを投稿