2012年8月16日木曜日

かあさんふくろう










「かあさんふくろう」(イーディス・サッチャー・ハード/作 クレメント・ハード/絵 おびかゆうこ/訳 偕成社 2012)

母さんフクロウは、28日のあいだ毎日ずっと巣穴でタマゴをあたためていました。そのあいだ、父さんフクロウが毎晩食べものをはこんできてくれました。ある日、母さんフクロウはお尻の下がもぞもぞするのに気づきました。まもなく、タマゴが割れて、ぜんぶで4羽のヒナが生まれました。

母さんフクロウは、羽毛がまだほんの少ししか生えていない、濡れたからだのヒナたちを、自分の羽で乾かし、あたためます。夜になると、父さんフクロウとともに狩りにでかけます。あたりが暗くても、フクロウの目はよくみえます。頭に突きでた羽は、耳のようにみえますが、ほんとうの耳は頭の横にあります。母さんフクロウは、なにも気づかないモグラをかぎ爪でつかむと、リンゴの木にある巣にもどります──。

絵を描いたのは、「おやすみなさいおつきさま」で名高い、クレメント・ハード。おそらく版画でえがかれたもので、「おやすみなさいおつきさま」とはひと味ちがった味わいが楽しめます。また、文章はフクロウの生態をていねいに描いています。さて、このあとも、木の枝から落ちてアライグマに襲われそうになったヒナを助けたりしながら、母さんフクロウと父さんフクロウの子育ては続きます。巻末には、かこさとしさんによる、「この本のこと」という文章が載せられており、本書の魅力をよくつたえています。

「ふくろうをえがいても、正しい姿や生態がうしなわれていては、科学絵本としては困ります。正確でまちがいのないふくろうがえがけていても、美しさや楽しさがその本がつたわってこなくては、子どもの絵本とはいえません。この本には、それがあるのです」

小学校中学年向き。

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